まだまだ日本では聞きなれない「大学編入学制度」についての情報ページです。 対象は 理工学系の学部学科における3年次編入学試験を受験する方 です。 文系学部学科の編入学試験については扱っていません。
なお、こちらの情報はあくまで 2009〜2010 年頃の私の経験に基づくものです。 実際の編入学の現状とはことなる場合がありますので、自己責任で利用してください。
一口に編入学と言っても、バリエーションがあります。 学士編入学や社会人編入学など、大学サイトの入試情報の項目を覗けば実態がわかるでしょう。 ここで扱う、3年次編入学制度はそのなかでも最もメジャーなものです。 主に、大学や大学相当の高等教育機関に2年間在学した者を、対象の大学の3年生として受け入れる制度です。
日本ではあまり有名ではない編入学制度ですが、アメリカやオランダなどでは一般的なものだそうです。 この制度は様々な利点を持ちます。 大学生であれば、2年間の在学中に細分化した専門領域をある程度理解した上でのコース変更が可能です。
わたしが体験したように、文系から理系への大学編入も可能です。 近年は減少傾向にあるようですが、短期大学や専門学校からの編入学も可能なようです。 ちなみにこの制度を一番利用しているのは、高等工業専門学校(いわゆる高専)の学生です。 大学生がこの制度を利用しようとすると、主なライバルは高専生ということになります。 よく意識をしておく必要があります。
個別の大学で編入学制度利用の受験資格は異なりますが、調べていくとそれなりの傾向があることがわかります。 大きく分けて理学系か工学系という点が関係してきます。 なお年度によって大きく変化する可能性がありますので、必ず大学の募集要項で確認する必要があるということは頭に置いておいてください。
工学系の学部学科を受験しようと考えている場合、だいたい同系統の学部からの編入学しか受け付けない場合が多いです。 これは工学系は理学系に比べ、やや専門的な科目が多いからであると考えられます。 また高専生のみ受験を認める大学も多いのが、工学系の特徴です。 したがって四年制文系大学や他系統学部学科から、工学系へ進みたい場合、選択の幅は非常に狭く、地方国立や電気通信大学や筑波大学などわずかとなります。
対して理学系の学部学科は他学部他学科からの受験を認めていることが多いです。 旧帝大クラスになると受験を認めていない大学もみられますが、おおむね受験可能でしょう。
四年制大学からの編入学条件は、だいたい大学に2年以上在籍し、62~64単位を取得していることとなっている場合が多いです。 編入後には単位の読み替えが行われますが、その結果次第では3年次編入以後、2年間で卒業できない、もしくは3年次編入が認められず、2年次編入となる場合があることに注意してください。
一般の大学入試では、国公立大学は原則としてセンター試験を受けて、前期と後期の2次試験を受けるという仕組みになっています。 このため多くても2回しかチャンスがありません。 しかしながら編入学制度では、国公立大学が原理上何個でも受けることができます。 もちろん日程がかぶった場合はどちらか絞り込む必要があります。 また合格発表日や、確約書の提出などのスケジュール調整をすると、うまく組み合わせたところで4~5校が限度だと思われます。 それでも、たくさんのチャンスがあるということは受験者にとって大きな魅力だと思います。
編入学試験で必要とされる数学の範囲は、おおまかに言えば「線形代数学」と「微分積分学」です。 筑波大や電通大の受験を考えている方は「複素関数論」。 旧帝大の受験を考えている方は「フーリエ解析」あたりもやっておく必要がありそう。
いずれにせよ、早いところ過去問を手に入れて試験範囲を把握することが大切です。 数学科を受験される方はひとくちに線形代数学といっても、他学部学科より一歩すすんだものが出題されます。
色々な大学の過去問を見てきましたが、数学は設問が似たり寄ったりになる傾向が強いです。 電通大の場合、行列の固有値関連の問題は毎年出題されています。 固有値、固有ベクトル、対角化あたりはスラスラとできるレベルが最終的な目標でしょう。 また、複素関数のローラン展開や留数定理の利用もよく出ています。 それから2変数関数の極地問題あたりや、重積分の問題も少なくともここ5~6年程度は出題されています。
このように、あきらかな傾向がある場合が大多数なため、まず出題されそうな問題形式を理解できるレベルに達しましょう。 これはどういう意味かというと、全く勉強していない状態だと問題がどの分野の知識を問うているのかわからないのです。 まずは各分野の基礎を要点をおさえながら、ひととおり固めます。
その際におすすめな教材は、定番ですが 編入数学徹底研究[必須!]と編入試験問題徹底演習です。 両方ともすべての問題を解きましたが、徹底演習のほうがレベルが高く、解説も雑です。 したがって、まずは教科書片手に、徹底研究を進めていきます。
ベクトル解析、微分方程式、複素関数論、フーリエ解析あたりの理論書(教科書)としておすすめなのは、工学部で学ぶ数学です。 この1冊に前述のすべての解説がコンパクトにまとまっており、かつ分かりやすいです。 個人的に編入試験数学対策にはマストな本だと思います。
きっと、演習を進めていくとつまづく箇所が出てくると思います。 そのようなときは、まず答えを一文字一文字ノートに写していってみてください。 実際に自分の手を使って書くと、案外理解できてしまうことはしばしばあります。 また、それでもダメなときは、印をつけておき、先の問題へ飛びましょう。 少し進んでから、分からなかった問題を眺めてみると意外にすんなり解けてしまうことは多々あります。
なんとかひと通り徹底研究をやり終えたら(1周2~3ヶ月が目安)、次は実践演習です。 徹底研究の章末問題は実際の過去問になっていますので、そこを進めていくのも手です。 また、自分の持っている過去問をひたすら解いていくというのも良いでしょう。 そして、このころになれば徹底演習を解くのに丁度良いレベルになっているでしょう。 特定の分野に不安をかかえている場合は、高専の数学 3 問題集 (第2版)がおすすめです。 解説がウェブ上に転がっていると思いますので、自力でググって探してください。
以上のように、数学に関しては試験範囲となりそうな分野をすべて1度さらいます。 そして基礎が固まったところで、過去問レベルの実践題をバリバリといていきます。 演習量を確保することが非常に重要で、私の場合は数学の演習ノートだけでキャンパスノート12冊分相当の紙を使いました。 恐ろしいほどの資源の無駄遣いです。安易に編入試験を受験するのは控えましょう。
編入試験の過去問を手に入れたところで、その解答解説は一切ありません。 自分の書いた答案が正しいかどうかわからない状態で問題を解いてもあまり生産性はないでしょう。
そこで活躍するのが計算ソフトMaxima。フリーソフトなのでお金も手間もいらず。 絶対に導入すべきソフトウェアです。 逆行列の導出や微分方程式を解くといったことをやってくれます。 また、固有値や固有ベクトルなどもだせます。 とにかく機能がもりだくさんなのでこいつを相方にして編入数学を乗り越えましょう。
使い方やらなんやらは、ググってみればたくさん出てきますのでやってみるといい。とにかく本当にMaximaさんは心の友です。
某巨大掲示板の編入スレや高専生の編入ブログなんかを見ると、やたらみんなTOEIC対策をしている様子が見られます。 でも、実際の試験問題の傾向とは遠いック。なんでもないです。
個人的な意見ですが、やはり編入英語とTOEICに何ら近いものを感じないんです。 大学受験でもそうなのですが、国公立大英語といえば英作文が特徴なんです! そして、英文和訳!これらに共通しているのは共に、「記述力」が試されるということ。
マーク式のTOEICっぽい問題を頑張っていいスコア取れても、記述できるかは別問題なので、それなりの対策をすべきでしょう。 まずは、英作文対策から。またまた定番なのですが、大矢英作文講義の実況中継(実況中継シリーズ)[必須!]。 これが、実際のところ最強です。読むだけじゃなく自分で例題と問題をとき、かつ本文中の重要ポイントを自分なりにまとめていってみてください。 特に「過去形と過去進行形の違い」や「現在完了形と現在完了進行形の違い」など、あまり文法解説書では取り上げられない事項は素晴らしく参考になります。 英作文の技術と共に、文法の横の関係性についての視点を習得できます。 後半部の自由英作文メゾットも悶え死ぬほど参考になります。 電通大や京工繊大をはじめとした、多くの大学で自由英作文が出題されます。 とにかくこの本は俺ネイティブだしっていう人以外は必須です。買ってください。出来れば上のリンクから。
つーか、作文とか言う前に単語覚えてください。私はアルク信者なのでキクタン買ってください。 キクタンBasic 4000とキクタン Advanced6000。 2冊完璧に覚えること。付属のCDの中毒性はやばい。
文法書は 表現のための実践ロイヤル英文法。 ボロボロになるまで文法用語を引いて、理解すること。 文法演習書は、新・英文法頻出問題演習 (Part1) (駿台受験シリーズ)。 英文解釈は、英文解釈の技術100 新装改訂版 (大学受験スーパーゼミ徹底攻略)[必須!]。本当にここに挙げている英語教材は間違いない。 持ってないんなら、リンクから飛んでポチってください。
英語に関しては大学受験と同じようなレベルだと思います。英語が嫌いでも出題されるんです。 私は死ぬほど英語が嫌い(つーか、英語教師が嫌い)だったのですが、受験を期に無理やり好きになりました。 アレです。告白されたのを期に好きになろうと努力する感じです。よくわかんないけど。 とにかく、高専生は比較的英語が苦手です。 試験終了後、答案回収の際、まわりを見渡すと英作文がまっしろでニヤニヤしました。 あなたもニヤニヤされないように勉強してください。英語を好きになってください。
物理学は一番勉強法を悩んだ教科です。 一般的には初等力学(解析力学は含まない・要微積)、熱力学、電磁気学、電気回路理論あたりが出題の対象になるようです。 各分野毎の傾向と対策について書いていきますね。
電磁気学に関しては、超オススメテキストがあります。 かつて所属していた東京留年大学電気科の電磁気学講義の教科書に指定されている工科の電磁気学です。 誤植がちらほらあるのが残念ですが、それを除けば編入試験に非常に役に立つ理論書です。 わたしはすべての例題と演習問題を2周こなしました。 9章からなる本なのですが、1~8章までをこなせば編入試験の電磁気学で怖いものはないです。
副教材として、ビジュアルアプローチ電磁気学も手元に置いておきたい1冊です。 大学レベルの教材とは思えない、カラフルさ、わかりやすさ。こちらの演習問題も2周こなしました。 電磁気学で意識したいのはガウスの法則・アンペールの法則を用いる問題です。 これらは非常に出題頻度が高いです。 つっても、本当に基本的な内容なので、ひと通りやったあとで問題解けないようならば、人としてちょっとまずいと思います。
熱力学に関しては物理学講義 熱力学を読み進めていきました。 少しばかり覚えなければならない関係式が多いので、用語の定義などを含め土台からしっかりと固めていってください。 特にカルノーサイクルやエントロピー増大則、熱力学法則に関する問題が頻出です。 問題演習は有名な基礎 物理学演習(共立出版)[必須!]を用いました。 基礎物理学演習はサイエンス社と共立出版の2箇所からでています。内容がそれぞれ異なるので気をつけてください。 ちなみに私はサイエンス社と共立出版のもの、それぞれ持っています。
力学をどうするのか悩みどころですが、個人的には上記の基礎物理学演習(共立出版)が最適だと思います。 よく大学受験用のテキスト(橋本の物理だとか難系)で学習している高専生を見かけますが、どこに目をつけてんだろうね。彼ら。 すいません。ちょっとディスりすぎました。編入の力学は基本的に微積を用いて記述しなけば点数をもらえないでしょう。 しっかりと学部学生向けの問題集をこなしていきましょう。
副教材としてビジュアルアプローチ 力学がおすすめです。 基本的にヴィジュアルアプローチシリーズはわかりやすいです。量子力学編と解析力学編でないかなー。
最後のまとめとして、高専の物理問題集 第3版[必須!]の巻末、編入学試験過去問題集もこなしておきましょう。 あなたが情弱でなければ、ググると解答解説が見つかるはずです。
わからんことは、教えてgoo!に投稿せよ。 奴らヒマなので素敵な回答を迅速にくれますよ。 特に過去問でわからない問題等。問題文の一部でググると案外、その問題に対する教えてgoo!の質問が見つかったり。
とにかく教訓は、わからんことは教えてgoo!へ。ホントあのサイトには助けられた。ありがとう。
各教科分野ごとにおすすめ教材とその手順をまとめておきます。 これを参考に実際に本を手に取り、自分なりの学習を行ってください。
筑波大は正直受かると思っていませんでした。 なんか、たまたま受かっちゃった感じです。
私が受けたのは、物理学類の試験で、おそらく化学類、数学類、生物学類あたりも似たような形式の試験を執っていると思います。 応用理工学類や工学システム学類あたりは、全く参考にならない内容だと思いますので、ご注意ください。
試験科目は、物理学と英語。それに加えて、面接試験があります。
4題中3題選択 ※配点が書かれていなかったので各設問40点の計120点満点で予想
問題1、力学の問題。 質点の両わきにバネが付いていて、横向きと縦向きにそれぞれ微小変位を与えた場合の単振動の周期についてを問う問題。 横向きに関しては簡単な振動の方程式となり、確実にとれているだろう。 縦向きは近似計算に手こずり途中でリタイア。(15点?/40点)
問題2、コンデンサーとネオン管が絡む回路の問題。 ネオン管の挙動については全くふれたことがなかったので戸惑った。 物理的な考察はあっている模様でグラフも、ちゃんとかけた。 ただし、数値計算が時間内に終わらずといった具合。(20点?/40点)
問題3、電磁気の標準的な問題。 ガウスの法則とアンペールの法則の表式を書かされ、正しく使えるかを見られる。 これは全く問題なし。(40点/40点)
予想得点:75点/120点=6割2分5厘)
【和訳50点、英訳50点と配点予想】
1.英文和訳 ほぼ問題なし。 glaciersという単語がわからなかったが、文脈から氷河と予想。 あっていた模様。細かいニュアンスの漏れなどを考慮しなければならない。(40点?/50点)
2.和文英訳 2題構成。 1題目は、女性専用車の注意書きの文そのまま。 英文自体はほぼ正しく書けた。ただし語順に問題がありそう。 あとは、身体の不自由な乗客をHandicapped passengersと書きたかったのだが、スペリングに不安があったため回りくどい書き方をした。 その分減点されているだろう。2題目は、筑波山の説明文。だいぶ無難に逃げたので多少の減点があるだろう。(35点?/50点)
(予想得点:75点?/100点=7割5分)
筆記試験の翌日、正装で面接会場へ。ちなみに筆記試験は私服で行きました。 でも筆記も正装の人がだいぶいました。つーか、正装の人のほうが多いです。 試験受けにくそー。
ちなみに、面接試験も私服で来ている人が1名いました。 彼が受かったか、落ちたかは知りませんが、勇者です。すげーわ、あいつ。
さて、面接試験についてですが、受験番号によって面接会場集合時間が異なります。
筆記試験終了の際に、面接に関するプリントが配布されて、そこに書いてある時間に集合します。 待ち時間を極力少なくする素晴らしいシステムだと思います。 本当に待ち時間は胃がキリキリします。 特に私は筑波大学が第一志望だったため、例の私服の彼を殴りたい衝動にかられました。
集合時間前に会場に向い、ドヤ顔で教室の席に着きます。 みんなドヤ顔してます。多分。 で、時間になると順番に受験番号を呼ばれていきます。 時間をはかったところ、だいたい1人あたり15分程度、面接されるようです。
私の順番が来ました。と、思いきや、別の待ち教室に移されました。 そこで、15分ほど待って、面接官のいる教室をノック!
「失礼します!」と、なんかそれっぽく頭を下げてご入室。面接官は3人。彼らもドヤ顔です。 面接官から4m程度離れた場所にポツンと机があり、そこに着席。 まずは、名を名乗らされます。 だらだらと志望理由等を話していきましたが、なんか面接官の心を掴みきれない感じ。
どんな分野に興味があるのと、聞かれ、 「まだ詳しいことはよくわかりませんが、多質点系の運動についての数理に興味があります。」と答えると、 「それ、うちの大学の必要ある?」だとか「どちらかと言えば、数学科なんじゃない」と。 もう圧迫感が半端ない。あたふたと受け答えしていると、「わかりました」と。 なにが、わかったんじゃい!
そして、ふと、机の上へ目をくばらせると、昨日の筆記試験問題が・・・。
『これ、進研ゼミでやったやつだ!』
面接官「昨日の試験のできはどうでしたか?」(ニヤニヤ)
俺「英語はできました。物理学は大問1の近似計算が大変でした。」 俺「それで、最後の小問ができませんでした。」
ちなみにその大問1というのは、[壁・バネ・質点・バネ・壁]となっているものがあるとする。 そのときの質点の挙動を答えるもので、前半は横向きに初速を与えた場合、後半は縦向きに初速を与えた場合についての問いが設定されていました。
面「じゃあ、質点に縦、横に力を加えた場合、どちらの方が、質点の加速度が大きいかな?」 俺「縦の方が加速度が大きいと思います。」 面「理由は?」 俺「勘です。」 面「地震波にはS波とP波があることは知ってるよね?」 俺「はい。」 面「どちらが縦波でどちらが横波?」
俺(・・・やっべー。そんなん覚えてねー。・・・) 俺(・・・でもP波はプライマリ、S波はセカンダリの頭文字だったはず・・・) 俺(・・・P波の方が早いので縦波だろう。・・・)
俺「S波が横波で、P波が縦波だと思います。」 俺「そして、S波は主要動を引き起こし、これは横波です。 初期微動と主要動という言葉があるように、主要動のほうが強いエネルギーを持ちます。 今回のバネと質点の装置において、質点を縦方向に動かすと、横波が発生します。 これは、S波と同じもので、強いエネルギーを持つということは、強い力が働きます。 運動方程式から、力は質量と加速度に比例します。 したがって、先ほどの質問においては、縦の方が加速度が大きいと思います。」(ドヤ!)
面「それ本当にあってる?」 俺(・・・えっ?・・・) 俺(・・・うわー。怖っ!・・・) 俺(・・・まぁ、でも、自信あるし。地震あるし。・・・) 俺「はい、間違いないと思います。」
この後しばらく圧迫されて、突然 「わかりました。結構です。」と言われて、終わったなと思いました。
1週間後・・・
合格通知が届きました。なんだよ。ツンデレかよ。わさびだ・・・。
Fin.
実際に私が受験した電気通信大学電気通信学部知能機械工学科の筆記試験および、面接試験について記述していきます。 なお、夜間コースで出願したため、昼間コースの面接試験とは異なる可能性がありますが、面接試験日は同一で昼間・夜間コース一斉に行われたため恐らく審査基準は同等だと思われます。 筆記試験は昼間・夜間コース同じものでした。
試験は筆記と面接で2日かけて行われます。 私が受けた年は同じく都内にある農工大と日程が重なっていました。
朝、6時20分に起床。 支度をだらだらとこなし、自宅の最寄り駅から電車で1時間半程度、ぼんやりと乗車。 電通大のある調布駅を通る京王線内で人身事故があったらしく、1時間前につくように出発したが、結局ついたのは30分前。 結構ギリギリ。リポビタンDに含まれるタウリン2g(2000mg)を飲み干し、いざ数学の試験へ。
大学発行の募集要項に書いてある試験範囲は、線形代数学、微分積分学、複素関数論となっている。 しかし、数学の問題冊子の注意事項よんでいて、実は複素解析を勉強する必要がなかったという事実に気がついた。 そこには、5問中4問選択と書いてあった。 でも、大学選択の幅が広がるうえ、他の問題で難しい積分が出てきたときに対応できるという利点を考えると、複素関数論をしっかり勉強しておいてよかったと思う。 どうせ合格した暁には勉強することになる分野です。ぜひやっておきましょう。
第1問、固有値問題。掃き出し計算のミスが怖いので何度か検算。 家に帰って解き直しもやったけど同じ値になったので、おそらく大丈夫。 完答(30点)
第1問の最後の小問で行列Aの2010乗を求めさせられるものがあった。 お昼休みにとなりに居た高専生らしき人たちの会話聞いていて、「あれ、計算きつかった」とか言ってたけれど、固有方程式をそのまま使って、ケーリー・ハミルトンの定理で1発だと思う。 それを使うと、10秒で終わります。これで自分が間違っていたらダサいけど、Maximaで検算したところ間違いはない。やはりMaximaは素晴らしい(奴隷)おともだち。
第2問、線形写像の問題。線形写像の核、像の次元・基底と表現行列を求めさせられる普通の問題。 一番最後の設問が表現行列だったが、これを先に答案に書いてから、核、像をだした。これも解き直したところ問題はなさそう。 完答(30点)
第3問、2変数関数の極値と、陰関数の極値。 2変数関数の極値の方は、一見普通の問題。 ただ、極値での2階微分係数に定数aが含まれていて場合分けしなければならない状態になった。 合っているか不安だが、解き直してもこうなった。これでよしだろう。 陰関数の方は、陰関数の定理の導出を答案でやり、それはすなわちゼロと、置いた。 ところが、ここで問題が起きた。出てきた導関数が、(y-x^2)/(y^2-x). この手の問題に出くわしたことがないので、とりあえず、y-x^2=0 かつ y^2-x ≠ 0 として、極値をとるとした場合、そのx座標は、-1としかなりえないと進めた。 その-1を元の陰関数に代入したところ、yについて解けない。 (解けるけど、手計算では厳しいような変な値)。 泣く泣く、極値を取る点は、x=-1,yはφ(-1)=0を満たすようなもの、と記述して次の問題へ。 悔しい。あとから調べたらこの式はデカルトの正葉線という名前が付いているものだったようです。 (15~20点?)
第4問、重積分の問題。設問は2個。 ヤコビアンと、積分値。ヤコビアンは余裕。 ところが、重積分の積分範囲の読み替えが、上手くいかない。 とりあえず、積分を進めたけど、こちらも難航。書けるだけ書いて逃げました。 パソコンでグラフ表示させたところ、積分範囲の読み替えは会っていた模様。 しかし、そのとおりに積分をすすめるにしてもなかなか、重い計算でした。 これは明らかに問題の選択ミス。痛い。 (15~20点?)
第1問は、万有引力による連星の運動問題。前半は運動方程式と相対座標系における運動方程式を出す問題。 ここはしっかりととった。その後は、相対距離Rを保ったまま円運動をしている時の周期を出す問題。 初めて出くわす問題で検討もつかなかったので、(2)で出した相対座標系における運動方程式を実在の力として円運動の式をたて、円運動の速さを導出。 そこから周期を求めた。帰宅後、参考書やウェブを見ながら答えを確認したところ、あっている模様。 本来は重心座標が不変であることを利用して、片方の惑星についての円運動の式をたてて解くようだ。 (ケプラーの法則を用いているサイトもあった)。 答案に書いた結果は論理的飛躍が大きすぎるので、減点されている可能性あり。 ここで出した式を利用した数値計算がラストの設問だったが、計算が間に合わず、値が出る2ステップほど前までの記述で終わっている。 (約16点?/25点)
第2問は、電磁気学のガウスの法則を利用した易しい問題。 球殻と、球に電荷を分布させて電場を求めよ、というもの。間違える要素がない。完答(25点)。
第3問は、エントロピー増大則についての問題。 過程(1)、(2)という別経路で物体A、Bを同じ状態にした時のエントロピーについて考察することによって、孤立系における不可逆過程ではエントロピーが常に増大する、すなわち、エントロピー増大則を導くというもの。 難しいところはなかったが、エントロピー増大則の説明に関する記述が甘かった気がするので、減点されている可能性あり。(15点?/20点)
第4問は、現代物理学。設問は5つ。 最初の2つは電子と陽子を加速させた時のド・ブロイ波長についての問題。 最初問題を見たときにできる気がしなくて、ひやりとしたが、電子と陽子の質量に着目したらすんなりと解けた。 3つ目は光電効果の問題。仕事関数に関する簡単な問題。4つ目は、コンプトン効果について。 ここは完全に勘で答えた。確実に間違っている。 5つ目はプランク定数と角運動量の次元が一致することを示す。これは易しい。(16点/20点)
(予想得点:72/90=8割)
面接試験なので、正装で調布へと向かう。 受験した知能機械工学科の面接会場には25人ほどの人。 ちょうど9時になると、面接を取り仕切る方が、説明を始めた。
面接は3回に分けて行われる。 受験生を3チームに分けて、同時進行に異なる面接を行うそうだ。 面接についての情報を何も手に入れていなかったのでびっくりした。 この話を聞いた瞬間に口頭試問があるのだろうと予想がついたのだが、時すでに遅し。 おとなしく自分の順番を待つことにした。
1回目の面接は、口頭試問。 いきなり、材料力学、流体力学、熱力学の問題が提示され、任意の1題を5分で面接官に説明せよというもの。 かなり同揺してしまった。機械工学系出身でもない自分にとって、選択の余地は物理学の試験対策で扱った熱力学以外になく、その問題に目を通す。
エンタルピーについての説明と、エントロピー増大則の説明をせよというものであった。 エンタルピー自体は知っていたが、暫く使っていなかったので、増大則の説明から始めた。 説明を一通りすると、面接官からの突っ込み。 それが何を指しているのかわからず、苦しんだ。 あとから考え直すと不可逆過程と可逆過程を絡めた話をしろということだったのだろうと思えるが、そのせいで時間を食ってしまい、エンタルピーの説明をさせてもらえなかった。 「わかりません」といって、エンタルピーの説明をしてしまえば良かったと反省した。
2回目の面接は、ふつうにお話を聞かれるもの。 志望動機、試験の出来、将来やりたいこと、2年で卒業できなくても大丈夫か、大学院は考えているか、などが聞かれた。 だいぶ熱心に聞いてくださった。ここでは特になにもやらかしては、いないと思う。
3回目の面接は、またもや口頭試問。 今度は、制御工学、ロボット工学、機械力学の3つから1題。 ガチガチの専門で「終わったな」と思ったが、よく見ると機械力学の問題がただのバネの振る舞いに関する問題だったのでそれを選択。 手は震えたけれど、今度はちゃんと最後まで説明できた。面接官の方も、「よく出来ています」とおっしゃっていたので一安心。
可能です。しかしながら、道はかなり険しいものとなるでしょう。
筆記試験において数学や物理学が課される場合は、高校などで数学3・Cに相当する、微分積分・行列・2次曲線の内容は必須といえます。 (もちろんそれ以外の数学1A2Bの内容に関しても同様です。)
その土台があった上でやっと、実際の試験範囲となる大学学部1~2年で扱われる線形代数や微分積分学が学習できる段階になるのです。 したがって、一般の編入試験受験生の数倍努力をしなければ、すべて不合格となり、時間の無駄になります。 実際に行う場合は強い覚悟を持ってください。
必要か、必要でないかはあなた次第です。
編入試験に対する強いモチベーションを持っていて、かつ情報収集をある程度自力で行える方は全く必要ないと思います。 逆に言えば、これらのことが出来ない場合は、あまり編入をおすすめできません。 それでも編入をしたいという方は、最終的に編入学予備校に通うのもひとつの手でしょう。 しかしながら、私自身利用したことがないのでその実態は分かりかねます。
有名どころでは中央ゼミナールやトフルゼミナールなどがあります。 私も通塾を検討しましたが、経済的・時間的に考えてみるとそれほどメリット見出すことはできませんでした。
可能です。
ただし、時間とタスクの管理が厳密にできなければ、両立は厳しいでしょう。 私は週2~3日、各日3時間程度の塾講師のアルバイトを行いながら、編入試験に臨みました。
時間とタスクの管理は、編入試験を考える際の非常に重要な要素となります。詳しくは別項に書き記します。
編入試験の面接が終わったあと、息をつく間もなくアルバイトへ向かったのを、今でも覚えています。 結論を言ってしまえば、気合さえあれば何でもできます。
大まかな関係性はあると思いますが、強い対応関係にあるとは言いがたいです。
大学受験でいうところの大体のブロック分け(旧帝大、旧官立←あまり使われていませんが…、地方駅弁)に沿った形で合格の難易度が変わると考えて良いと思います。 ただし、各ブロック内での難易度にそれほど差はないです。またあくまで合格の難易度というだけの話であって、試験問題の難易度とはことなります。 実際、私自身が解いてみて、電通大よりも茨城大の方が難しいと感じました。
あまり序列化するのも良くないのですが、私自身が感じた大体の目安を記しておきます。 編入試験実施状況を考えるとだいたい以下のあたりが選択肢となると思います。
ウェブ界隈でエンジニアとして労働活動に励んでいる @gomi_ningen 個人のブログです