記事:“アジャイル入門”の続き。アジャイルサムライをベースにアジャイル開発のための思考フレームワーク的なものがまとまっていた第二部をまとめます。

インセプションデッキ

プロジェクトがダメになる理由として大きなもののひとつに「チームメンバがそれぞれお互いに誰もいないところで合意したことを前提にしていること」があがる。お互いの指している言葉は同じでも、実は思っているものが別のものだったりするのは実はプロジェクトでもよく起こる。そうならないためには早い段階で、ゴールやビジョン、状況、背景についてチームでよく話し合っておくこととその情報をステークホルダーに提供することが大切。

プロジェクトを始める前にチームメンバが考え、意見を共有するべき10の課題で構成されているものが次に示すインセプションデッキになります。

  1. 我々はなぜここにいるのか
  2. エレベーターピッチ
  3. パッケージデザイン
  4. やらないことリスト
  5. 「ご近所さん」を探せ
  6. 解決策を描く
  7. 夜も眠れない問題
  8. 期間を見極める
  9. 何を諦めるのか
  10. 何がどれだけ必要か

インセプションデッキの前半5つはプロジェクトの背後にある「なぜ」をあきらかにするための課題、後半5つは「どのように」をあきらかにするための課題になる。

これを数日から2週間程度かけて話し合う。話し合いの途中でかなりぶつかり合いそうになるので、そういうときはインセプションデッキに取り組む理由(お互いの意識共有)と顧客満足を優先するという二つの観点に立ち返ると良いと思った。

なぜこのプロジェクトが存在するのか

我々はなぜここにいるのか

  • 自分自身が現場で確かめる
  • 自分自身が顧客になることによりプロジェクトがなぜ、どのくらい必要なのか理解できる
  • 司令官の意図をつかむ
  • プロジェクトでの司令官の意図は壮大であったり、野望にあふれていたりしなくてよい。
  • プロジェクトに焦点があっていることが大切

エレベーターピッチ

エレベーターピッチ:ごく短い時間でアイディアの本質を伝える手段。以下に示したのがそのテンプレート(ジェフリー・ムーアの『キャズム』より)。簡潔にするのは難しいが、何回か書き直し時間をかけて取り組むと良い。

  • [潜在的なニーズを満たしたり、抱えている課題を解決したり]したい
  • [対象顧客]向けの、
  • [プロダクト名というプロダクト]は
  • [プロダクトのカテゴリー]である
  • [コレは重要な利点、対価に見合う説得力のある理由]ができ、
  • [代替手段の最右翼]とは違って
  • [差別化の決定的な特徴]が備わっている

パッケージデザインを作る

「スーパーマーケットの棚に自分たちのプロダクトが並ぶとしたら、どう並ぶのだろう」ということを想像しながらやってみる。 制限時間15分などと決めてやると超ミニチュア開発を進めることと同じ効能がありそう。

  1. プロダクトの効能をブレインストーミングする
  • フィーチャーを伝えるのではなく、そこからもたらされる効能を考える
  1. キャッチコピーを決める
  • よく練られたキャッチコピーは切り詰めた少ない語数で表現されている
  1. パッケージをデザインする

やらないことリストを作る

  • やること、やらないこと、あとで決めることに分類する
  • 各スプリントごとに要件から仕様の領域に落とし込んだことに注力する

ご近所さんを探せ

  • プロジェクトコミュニティは考えているよりも常に大きい
  • プロジェクトコミュニティの全貌をつかみ、信頼関係を構築することにより、ニーズ・ウォンツを正しくつかむことができる。場合によっては協力してもらったり、相手に協力したりすることができる。

どのようにこのプロジェクトを進めていくのか

解決策を描く

プロジェクト課題の解決策を目に見えるように図にすることにより以下のことを実現する

  • ツールや技術に抱く期待をマネジメントできる
  • 想定しているプロジェクトの境界とスコープが目で見て分かる
  • リスクを共有できる、視覚化できる

夜も眠れなくなるような問題

プロマネの不眠の理由:リスク

  • リスクについて話し合う機会をもうける
  • リスクが顕在化する条件をはっきりさせておく
  • チームのスコープ内で打ち込む価値のあるリスクを見極める

期間を見極める

  • 小さく考える
  • ゴールの決まっていない大規模プロジェクトよりも、ゴールの決まった小さなプロジェクトにする
  • プロジェクトの長さへの期待をマネジメントできる

何を諦めるのかをはっきりさせる

  • 品質は常に最優先事項
  • 予算期日は厳守すべきとされる傾向が強い
  • プロジェクトに作用するフォースは「時間」「予算」「品質」「スコープ」
  • このなかで動かすのできるものは「スコープ」のみとなる

トレードオフ・スライダーを用いて何を諦めるのかをはっきりさせると良い。

何がどれだけ必要なのか

普通のことだが、これまでのステップを踏まえたとき、普通以上の意味を帯びてくる

  • 誰が何をするか
  • 最終判断を下す人は誰か
  • コストはどれだけ必要なのか
  • 「最初のスライド」は「最初のリリース」
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