∫02πsin8θdθ などの三角関数の積分は非常に厄介です。
しかしながら、編入学試験においては、これが直接設問になっていることや、物理学の途中計算で出てくることがよくあります。一般的には、倍角の公式など三角関数の相互関係の公式を用いて式を解きほぐしていくことが多いのではないでしょうか。そうすると途中で計算を間違えたり、公式の使い方を間違えたりするミスが多発する経験がある方もいらっしゃるでしょう。
これを防ぐための方法として、sinnθの積分公式を自分で導いてしまうという手法をご紹介します。もっとも、この関係式の導出自体が大学受験の頻出問題であるため、それほど特別なものではないことを記しておきます。
導出の方法は、非常に簡単です。
何も考えずに∫02πsinnθdθを実行してください。そして、三角関数の相互関係を利用して漸化式を導出します。以下にその様子を記します。
InnIn∴In=∫02πsinnθdθ=∫02π(−cosθ)′sinn−1θdθ=[−cosθsinn−1θ]02π+∫02π(n−1)cos2θsinn−2θdθ=0+(n−1)∫02π(1−sin2θ)sinn−2θdθ=(n−1)[∫02πsinn−2θdθ−∫02πsinnθdθ]=(n−1)[∫02πsinn−2θdθ−∫02πsinnθdθ]=(n−1)(In−2−In)=(n−1)In−2=nn−1In−2
したがって以下のことが言えます。
【三角関数のベキ乗の定積分】
In=∫02πsinnθdθとすれば
In=nn−1In−2
Jn=∫02πcosnθdθとすれば
Jn=nn−1Jn−2
cosnθの方は紙面では証明していませんが、区間(0,2π)でのsinθ,cosθのグラフを書けば、そのベキ乗の積分値が等しくなることはわかるでしょう。また、In=Jnの証明も容易なので興味のある読者への課題としておきます。