2023-03-02 18:32
2023-03-02 18:33

sinnθ,cosnθsin ^n \theta ,cos ^n \theta の定積分

0π2sin8θdθ\int_0 ^\frac{\pi}{2} sin^8 \theta d\theta などの三角関数の積分は非常に厄介です。

しかしながら、編入学試験においては、これが直接設問になっていることや、物理学の途中計算で出てくることがよくあります。一般的には、倍角の公式など三角関数の相互関係の公式を用いて式を解きほぐしていくことが多いのではないでしょうか。そうすると途中で計算を間違えたり、公式の使い方を間違えたりするミスが多発する経験がある方もいらっしゃるでしょう。

これを防ぐための方法として、sinnθsin^n \thetaの積分公式を自分で導いてしまうという手法をご紹介します。もっとも、この関係式の導出自体が大学受験の頻出問題であるため、それほど特別なものではないことを記しておきます。

まずは0π2sinnθdθ\int_0 ^\frac{\pi}{2} sin^n \theta d \thetaを実行する

導出の方法は、非常に簡単です。

何も考えずに0π2sinnθdθ\int_0 ^\frac{\pi}{2} sin^n \theta d\thetaを実行してください。そして、三角関数の相互関係を利用して漸化式を導出します。以下にその様子を記します。

In=0π2sinnθdθ=0π2(cosθ)sinn1θdθ=[cosθsinn1θ]0π2+0π2(n1)cos2θsinn2θdθ=0+(n1)0π2(1sin2θ)sinn2θdθ=(n1)[0π2sinn2θdθ0π2sinnθdθ]=(n1)[0π2sinn2θdθ0π2sinnθdθ]=(n1)(In2In)nIn=(n1)In2In=n1nIn2\begin{aligned} I_n &= \int_0 ^\frac{\pi}{2} sin^n \theta d\theta \\ &= \int_0 ^\frac{\pi}{2} (-cos \theta )^\prime sin^{n-1} \theta d\theta \\ &= \left[ -cos \theta sin^{n-1} \theta \right]^{\frac{\pi}{2}}_0 + \int_0 ^\frac{\pi}{2} (n-1) cos^2\theta sin^{n-2} \theta d\theta\\ &= 0 + (n-1)\int_0 ^\frac{\pi}{2} (1-sin^2\theta) sin^{n-2} \theta d\theta\\ &= (n-1)\left[\int_0^\frac{\pi}{2}sin^{n-2}\theta d\theta - \int_0^\frac{\pi}{2} sin^n \theta d\theta \right]\\ &= (n-1)\left[\int_0^\frac{\pi}{2}sin^{n-2}\theta d\theta - \int_0^\frac{\pi}{2} sin^n \theta d\theta \right]\\ &= (n-1)(I_{n-2} - I_n) \\\\\\ nI_n &= (n-1)I_{n-2} \\\\ \therefore I_n & = \frac{n-1}{n}I_{n-2} \end{aligned}

したがって以下のことが言えます。

【三角関数のベキ乗の定積分】

In=0π2sinnθdθI_n = \int_0 ^\frac{\pi}{2} sin^n \theta d \theta とすれば

In=n1nIn2I_n = \dfrac{n-1}{n} I_{n-2}

Jn=0π2cosnθdθJ_n = \int_0 ^\frac{\pi}{2} cos^n \theta d \theta とすれば

Jn=n1nJn2J_n = \dfrac{n-1}{n} J_{n-2}

cosnθcos^n\thetaの方は紙面では証明していませんが、区間(0,π2)(0,\frac{\pi}{2})でのsinθ,cosθsin\theta,cos\thetaのグラフを書けば、そのベキ乗の積分値が等しくなることはわかるでしょう。また、In=JnI_n=J_nの証明も容易なので興味のある読者への課題としておきます。

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